労働市場の場合、「マイナス票が全て無効で、プラス票だけが効力を持つ」というほど極端でないにしろ、この傾向が強いゲーム構造、すなわち、「マイナス票の効力よりも、プラス票の効力が大きい」というゲームであることがよくある。
たとえば、「人脈ゲーム」がこの傾向を持つことがよくある。
したがって、たとえ、一緒に仕事した人の95%に「あいつは役に立たない」と思われたとしても、必ずしも将来を悲観するにはあたらない。
たとえば、「あいつは、ほとんどの場合は役に立たないかも知れないが、こういう風な役割をやらせたときだけは、役に立つ」と考える、ごくわずかな権力者(=固定票)がいるかどうかで、その人の労働者としての市場価値が決定することもあるからだ。
自分の労働者としての有用性を見いだしているごく少数の固定票が、自分の将来の良い待遇での転職を保障してしまうことで、自分の労働者としての価値を否定するアンチがどんなに多くても、彼らアンチが持っているのは、しょせん「マイナス票が無効とされるゲーム構造におけるマイナス票」でしかない、ということもあるのだ。
そして、「マイナス票の効力よりも、プラス票の効力が大きい」というゲーム構造にいるにもかかわらず、周囲に嫌われたり、叩かれたりすること(=マイナス票が増えること)を過剰に恐れるあまり、「マイナス票とプラス票の両方を増やす可能性がある行動」をとれない人がいる。じつにたくさんいる。
もちろん、これはケースバイケースで、閉鎖性の高い人間関係の中で一生暮らしていく戦略の場合、マイナス票の効力の方がプラス票の効力より大きくなるケースもある。
したがって、その場その場で、マイナス票の効力とプラス票の効力を、それぞれ十分によく見極めてから、「マイナス票とプラス票の両方を増やす可能性がある行動」を行うかどうかを判断する必要がある。
そのシビアな見極めもナシに、「これをやると叩かれるのではないか?」「これをやると嫌われるのではないか?」と恐れて「マイナス票の効力よりもプラス票の効力の方がずっと大きいゲーム構造」においてまで、「自分の価値を認めてくれる人を増やすかも知れない行動」をしない人と、このゲーム構造を見抜いて、平然と嫌われるような行動をガンガンやってのける人間とで、どんどん運命が分岐していくことになる。